スラムダンク好きなら小説「風が強く吹いている」がおすすめ

漫画スラムダンクは何度読んでも感動できます。同じ種類の感動を味わえる小説が三浦しをんさんの「風が強く吹いている」です。バスケットではなく駅伝を題材にしたスポーツ小説ですが、ジャンプ漫画と同様に「友情・努力・勝利」が全て盛り込まれていて、登場するのは、才能型、破天荒型、努力型、軟弱者、学者肌などなど、いろんな性格の駅伝メンバーが、そのキャラクターなりの活躍で感動させてくれます。

「風が強く吹いている」三浦しをん

以下ネタバレとなります。


流川と桜木を足し合わせたような走りの才能を持っているが直情的で短気な主人公の走(かける)が、ランナー兼監督兼寮母のような灰二と出会い、竹青荘の10人で箱根駅伝を目指す。

私が一番感情移入し、愛すべきキャラだったのは王子というキャラクター。王子様のような外見だけど、スポーツはからっきしで駅伝の経験もなく、練習でも大会でも自分1人だけがダントツで遅い。しかし、試走会でどれだけ周回遅れで悪目立ちしてしまっても、王子は周りの目は気にせずあくまで自分主体で飄々と努力を続ける。スラムダンクのメガネ君のように自分なりに駅伝に打ち込んでいる彼を愛さずにはいられなかったです。
漫画オタクの王子は、自分の中に漫画という確固たる軸を持っていることの賜物だと思うが、周囲に踊らされない彼の鋼のメンタルは尊敬に値する。

他にも、風邪をおして往路5区を走った神童君がゴール後に謝ろうとした場面が泣き所でした。
全体的に、走や灰二以外の、駅伝初心者たちの活躍シーンの方が個人的には感動することが多かった。地味でも地道に自分なりに頑張り、地味だけど自分なりの結果を出す格好良さにグッとくる。

数少ないいくつかの不満点として:
・走が悪びれもせずパンを万引きしていたこと。監督殴るよりも平然と万引きするメンタリティのほうがよほど炎上案件だと思うのだけど。
・恋の結末を描くことなく物語が終わることもあり、恋愛要素はなくても良かったように感じた。
・東体大の榊がこれでもかというぐらい嫌なやつすぎてリアリティがない。

漫画と小説という違いはあるが、なんならスラムダンク全巻読破するよりも早く読み終えることができるし、にもかかわらずスラムダンク級に感動できるスポーツを題材とした小説。おすすめです。

「風が強く吹いている」三浦しをん